今回は「NISA」と「つみたてNISA」についての違いを投資初心者向けに紹介します。
老後資金2000万円問題などで、資産運用を始めてみようと考えている方は多いですよね。
しかし、いざ始めてみようとして、こんな疑問を持ちませんでしたか。
「NISAとつみたてNISAって何が違うの?」
「投資初心者におすすめなのはどっち?」
こんな風にお悩みの方もいらっしゃるはずです。
この記事では、「NISA」と「つみたてNISA」の違いをわかりやすく解説し、初心者にはどちらがおすすめなのかを説明していきます。
そもそもNISA制度とは?
株式や投資信託を売却して利益が出た場合、20%の税金がひかれます。
例えば、100,000円で株を買った後、値上がりして200,000円で売ったとします。200,000円そのまま手元に戻れば嬉しいのですが、利益の20%、つまり「100,000×20%=20,000円」が税金として引かれてしまいます。
結果、手元に戻ってくるのは180,000円ですので、税金が結構重たいと感じたかと思います。
しかし、NISA(つみたてNISA)であれば利益に対して税金がかかりません!
先ほどの例でいえば、200,000円が全て手元に戻ってくるようになります。
嬉しいですよね。
ここまで読んで、次に浮かんでくる疑問が
「NISAとつみたてNISAの違いは何なの?」ということではないでしょうか。
解説していきます。
NISAとつみたてNISAの違いを表で解説
NISA | つみたてNISA | |
保有期間 | 5年間 | 20年間 |
非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
投資商品 | 株式・投資信託など | 金融庁が認めた銘柄のみ |
買付方法 | 自分で買付・売却 | 自動積立 |
備考 | NISAかつみたてNISAは選択制・両方口座開設することはできない |
違いを表で見ても、イメージしにくい方も多いと思います。
そのため、ここからは個別に解説していきます。
NISAはどんなもの?
NISAは、自分自身で何を買うか銘柄を選定し、自分のタイミングで売買を行う方のための制度です。
そのため、年間非課税枠は120万円と高めに設定されており、投資可能な商品も株式やETF、投資信託やREITなどバリエーションが豊富です。
払い出しに制限はなく、好きなタイミングで売り買いし、出金することが可能です。
「投資にある程度、知識や経験がある方向け」とイメージするとわかりやすいと思います。
NISAのメリット
NISAのメリットは、何と言っても「自分の好きな銘柄を好きなタイミングで売買でき、その利益が非課税になる点」です。
投資に関して、ある程度知識があり「〇〇の銘柄を××円の時に買いたい」と具体的に投資内容が決まっている方には、最適な制度と言えるでしょう。
NISAのデメリット
自分の好きな銘柄を好きなタイミングで売買できるNISAですが、逆を言えば「自分自身で投資判断をする必要がある」という点がデメリットと言えるでしょう。
例えば「投資については右も左もわからない!どの銘柄を買えばいいの?」と悩んでいる方や初心者の方には、向いていない制度です。
また、会社員などで日中が忙しく、株の価格をチェックしていられない、売買する時間がないという方はNISA口座を作っても取引する時間がとれない可能性があるので注意しましょう。
つみたてNISAはどんなもの?
NISA口座は投資経験のある方のための制度でした。一方で、つみたてNISAは投資経験のない方のための制度といえます。
つみたてNISAを理解するために、いくつかポイントがあるのでそれぞれ解説していきます。
つみたてNISAのメリット
初心者にもわかりやすい商品に投資できる
まず、つみたてNISAの場合、投資できる商品が限定されています。
商品は金融庁が「長期の積立・分散投資に適している」と認定した投資信託のみです。
ここで「金融庁が認定したもの?それ信じて良いの?」と疑問に思う方もいると思います。
金融庁が認定した投資信託は、ほとんどが「インデックス型の投資信託」なので安心してください。インデックス型とは、決まった指標に沿った動きをする投資信託のこと。
例えば「日経平均をインデックスとした運用をします」という投資信託であれば、日経平均に連動して価格が変動します。
日経平均が下がれば、投資信託の価格も下がります。反対に、日経平均が上がれば、投資信託の価格も上がります。
そのため、投資初心者でも「どうして自分が持っている商品の価格が上がったのか(下がったのか)」をチェックしやすく、値動きがわかりやすい仕組みになっています。
自動積立で買付のタイミングに悩まない
「資産運用を始めてみよう!今日から自分も株デビューだ!」と意気込んだものの、結局買うタイミングが掴めず挫折した方はいらっしゃいませんか?
つみたてNISAは、自分が設定したタイミングで自動買付が行われます。
例えばSBI証券なら「毎日・毎週・毎月」と細かい設定が可能です。
楽天証券では「毎日・毎月(指定した日で購入する)」などの設定が可能です。
証券会社が自動で積立を行ってくれるので、一度設定したら後はそのまま置いて資産を育てる…とイメージするとわかりやすいでしょう。
長期的な分散投資ができる
基本的につみたてNISAは、一度買付をしたら後は放っておくタイプの投資です。
その秘密は「ドルコスト平均法(定期購入法)」にあります。同じ商品を、一度に購入せず、資金と時間を分散して購入することで、買付価格が平均化され、価格変動のリスクに備えることが可能です。
ドルコスト平均法は、長期的に投資をするほどその効果を発揮します。
つみたてNISAを始めたら、毎日価格をチェックするのではなく、年単位で価格の変動を気にするようにしてください。
小額から投資ができる
投資初心者の方が、一度に多額の資金を投資に回すのは不安があるはずです。
つみたてNISAは年間40万円までしか枠がありません。
毎月積立の制度ですから、月に換算すると「33,000円」が上限です。
(33,000円×12ヶ月=396,000円)
もちろん、33,000円をすぐに投資にまわす必要はありません。証券会社によっては、100円から積立を開始できます。とはいえ、あまりに小額では投資の意味がありません。
まずは1,000円から始めてみて、慣れてきたら5,000円、相場が下げた時には10,000円に増額…など自分のペースで積み立てられるといいですね。
ちなみにSAKUPAGEは毎月3,000円から「つみたてNISA」をスタートしました!
つみたてNISAのデメリット
つみたてNISAのデメリットは、何と言っても「投資商品が決まっており、自分のタイミングで購入できない」点がデメリットと言えます。既に購入したい株式の銘柄がある方や、自分で株式市場の価格を見ながら買付の注文がしたいという方にとっては、制約が多い点がデメリットと言えるでしょう。
また、つみたてNISAは「少額を毎月積み立てて大きく成長させる」という目的があります。そのため、短期的な利益は狙えません。
「買った商品が来月には2倍になっていてほしい!」という方には不向きです。
【番外編】iDeCoとつみたてNISAの違いは?
資産運用を始めようと思い立って、NISAやつみたてNISAを調べた方が必ずあたる問題がこちらです。
「iDeCoとつみたてNISAってどう違うの?」こんな疑問を持っている方は多いはずです。
iDeCoとつみたてNISAの違いとしては、以下のようなイメージを持つとわかりやすいかと思います。
・つみたてNISA:投資初心者が資産運用を始めるための手段
・iDeCo:老後資金や退職金としての資産運用
つみたてNISA | iDeCo | |
年間投資額 | 40万円 | 14.4万円~81.6万円 (職業や加入年金により異なる) |
運用商品 | 金融庁が認定した投資商品 | 預貯金・投信信託・保険商品 |
税制優遇 | 20年間 | 60歳まで(運用は70歳まで可能) |
売買のタイミング | いつでもOK | いつでもOK(他商品への切り替えはいつでもOK・出金は60歳まで原則不可) |
出金 | いつでもOK | 60歳まで原則引出し不可 |
iDeCoの場合、老後資金や退職金として運用するという意味合いが強くなっています。
そのため、職業や加入年金によって投資できる金額が変わり、出金も原則60歳になるまでは引出せません。
一方で、つみたてNISAは投資初心者が資産運用をするための制度です。出金についても制限がなく、自分の好きなタイミングで売買できます。
NISAとつみたてNISAは併用できませんが、iDeCoとつみたてNISAは併用が可能です。
老後資金が心配で資産運用を始めたいなら…
「つみたてNISAもiDeCoも始めよう!」と資金に余裕がある方にはアドバイスします。
※資金に余裕がない場合はiDeCoは余裕ができてから検討してみましょう!
NISAがおすすめなのはこんな人
NISAは、投資先や投資のタイミングを自分で決める必要があります。
・すでに買いたい銘柄が決まっている
・自分の好きなタイミングで売買したい
・売買に割く時間的余裕がある
・短期的な利益を狙いたい
こんな方には通常のNISAがおすすめです。
つみたてNISAがおすすめなのはこんな人
つみたてNISAは、投資初心者が資産運用を始めるための第1歩的な制度です。
・投資先が決まっていない、わからない
・いつ売買したらいいのかわからない
・日中は忙しく価格がチェックできない
・短期的な利益より中長期的な利益を重視したい
こうした方はつみたてNISAを選びましょう。
投資初心者ならつみたてNISAを選ぼう
投資初心者で、これから資産運用を始めたいと考えているならまずは、つみたてNISAを始めてみましょう。
金融庁が認定した銘柄とはいえ「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」と投資可能なマーケットは全て網羅されています。
上限枠内であれば、何銘柄保有してもOKです。
・国内株式:10,000円
・米国株式:10,000円
・国内債券:10,000円
というように、分散して投資することもできるので、悩んでいる方は参考にしてみてください。